自毛植毛の長所・短所を把握しよう
自毛植毛は人工毛移植に比べ、さまざまなメリットがあることで知られています。
しかし、すべてにおいて人工毛植毛に勝っているわけではありません。特にデメリット部分を軽視すると、後に思わぬトラブルになる可能性もあるので、メリットだけではなく、デメリットもよく理解しておきましょう。
ここでは、自毛植毛のメリットとデメリットの両方を紹介します。
自毛植毛のメリット
拒絶反応の心配がない
人間の体には、外部からの異物を拒む免疫機能が備わっています。
そのため、科学的に作られた人工毛を移植すると、体が人工毛を異物とみなし、拒絶反応を起こす可能性があります。
拒絶反応が起こると、植毛部位の腫れや化膿などの接触性皮膚炎や、人工毛の脱毛などの症状があらわれます。
一方、自毛植毛は自分自身の髪を別の部位に移植するだけなので、異物として認識されず、拒絶反応を起こすリスクが少ないというメリットがあります。
自然な仕上がり
人間の髪は同じように見えて、実は髪質や髪の色など、微妙なところで個人差があります。
そのため、人工毛で薄毛部分を補おうとすると、どうしても周囲から浮いてしまい、不自然な仕上がりとなってしまいます。
最近では人工毛の技術も向上し、個人の髪質に合わせた人工毛を作ることも可能となりましたが、やはり本物の髪の毛とは雲泥の差があります。
一方、自毛植毛は紛れもない本物の自分の髪ですので、髪質や色は一定。周囲から浮く心配もなく、ごく自然な仕上がりとなります。
自分の髪として再び生えてくる
人工毛はその名の通り人工的に作られた偽の髪の毛ですので、薄毛部分に移植したとしても、もちろんそれ以上伸びることも生えることもありません。
そのため、周囲の髪が伸びてくると不自然になってしまうため、ヘアスタイルにもある程度の制限がもうけられてしまいます。
一方、自毛植毛は一度定着すると、再び自分の髪として成長し始めるというメリットがあります。定着した後は、まわりの髪と一緒にぐんぐん伸びていくので、ヘアスタイルも思いのままです。
人工毛植毛がいわゆる『付け毛』であるのに対し、自毛植毛は本当に自分の髪を復活させられるところに最大のメリットがあると言えるでしょう。
自毛植毛のデメリット
移植量に限界がある
自毛植毛は主に後頭部の自分の髪から採取され、移植されます。
そのため、移植できる数には限度があり、大量生産できる人工毛に比べ、一定の制限がもうけられています。
また、いっぺんに植毛すると>定着率が低下するため、1回の施術で移植できる毛髪の数にも上限があります。
頭皮トラブル
自毛植毛では、後頭部から髪の毛ごとグラフト(株)分けされますが、グラフトを採取する際、頭皮に若干傷跡が残る場合があります。
最近ではグラフト採取の技術も向上したので、実際の傷跡はそれほど目立ちませんが、全く無傷では済まないと思っておいた方がよいでしょう。
また、施術では頭皮に移植孔と呼ばれる穴を開けますが、このとき、頭皮を走る知覚神経が一時的に切断されるため、麻痺が起こることがあります。
知覚麻痺は一時的なものなので、2~3ヶ月後には自然と解消されます。
その他、生え際の植毛を行った場合、額やまぶたに一時的な腫れが起こる場合もあります。
ショックロス
自毛植毛で移植された毛髪の多くは、定着後、一度脱毛する傾向にあります。
これはヘアサイクルによるもので、植毛から1ヶ月前後で脱毛した後、3ヶ月あたりから再び髪が生えてくる仕組みになっています。
しかし、これとはまた別に、植毛部位周辺の髪が抜け落ちるショックロスと呼ばれる減少が起こる場合があります。
ショックロスについては未だに不明な点が多く、一説には植毛によって一時的に血行不良が起こるためとも言われていますが、詳細は明らかとなっていません。
ショックロスは誰にでも起こる現象ではなく、また、起こったとしても抜け落ちた髪の大部分は数ヶ月後に再び生えてくるので、さほど心配することはありません。
施術費用が高額
植毛大国である米国に比べ、まだまだ自毛植毛がそれほど浸透していない日本では、施術にかかるコストがかなり高めとなっています。
米国では植毛1本あたりの平均費用は200~300円程度が主流ですが、日本では同量で500円~1000円以上と、米国の約3倍~5倍に及んでいます。
また、自毛植毛は頭皮の負担を考慮し、数回にわけて施術を行うので、回数が増えれば増えるほど費用が高額になってしまいます。